食品衛生学実験を担当している田村です。
この実験は、夏休みの夏季集中講義で5日間、1−5限で行われるなかなかタフな実験です。
生化学実験とは異なり、漬物やお菓子(着色料の抽出)、ハムやソーセージ(発色剤)、レタスやひき肉(食品中の細菌の増殖)、サバ(ヒスタミンの検出)など、身近な食材を用いた実験なので、学生さんはイメージがしやすいようです。
*写真はチョコレートのコーティングから抽出した合成着色料を濃縮中の様子です。
さて、近頃、細菌検出実験でちょっと困っていることがあります。
新型コロナウイルスが世の中を賑わせるようになってから、学内の清掃は普段以上に徹底されるようになりました。
ドアノブや、エレベーターのボタンといったところは、こまめに除菌されているようです。
そのためか、ここ数年「身の回りの細菌観察実験」では、「菌が生えませんでした!」という班が多く見られるようになりました。
衛生面が向上したことはありがたいのですが、以前のように培養しても菌が検出できない場所が増えています。
嬉しいような、授業的には困ったような。
一方、今年はカビの観察実験が再開され、5日間室温で培養を行ったところ、屋外で集菌した標準寒天培地にはワサワサとカビの集落が観察できました。
青カビ、赤カビ、白カビ、黒カビと、培地に生えた色とりどりのカビは、ホワホワと羽毛のような形状をしたものもあり、なかなか見応えがあります。
写真をお見せしたい!と思いましたが…、今回はやめておきます。
その代わり、顕微鏡観察した黒カビを学生がスマホで撮った写真をお見せしますね。
菌糸と、胞子のうが観察できました。
食品衛生学実験は、食品添加物や食品の変質といった身近なものから、食中毒菌まで取り扱う、当科では夏の風物詩?といったところです。