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2025.07.11

食後の血糖変動は、運動パフォーマンスに影響するのか?

健康栄養学科教員の森です。2025年の4月に着任したばかりの新人です。
2025年度4月より、卒業研究を担当しております。我々のラボ(研究室)が新たに始動した、卒業研究のテーマは、『デジタル技術を活用した競技選手の栄養管理』 です。

これまで、私は10年ほど老年症候群や、リハビリ、糖尿病に関する臨床研究や栄養管理業務に関わってきました。
糖尿病治療では、食事前・後の血糖管理を行います。
近年、糖尿病のある方の血糖管理は飛躍的に進歩し、24時間持続して血糖値をモニタリングできるセンサーが開発されました。
さらに血糖センサーとBluetooth連携することで、スマートフォンから、食後の血糖変動幅や低血糖のイベントなど、リアルタイムで確認することができます。
一方、近年、スポーツ選手の運動パフォーマンスの低下に、食後の血糖変動幅や急激な血糖降下が関連するといった報告があります。
身体活動量が多い方は、1食で摂取するエネルギーや炭水化物量が多いので、食後の血糖変動幅が大きくなることが予測されます。
その結果、食後の集中力低下や倦怠感、眠気などの症状が現れ、パフォーマンスの低下をきたしやすくなります。
卒業研究では、スポーツ選手向けの献立を作成し、筋肉量や身体活動量が多い方などを対象者に、食事の食べ方の違いや食品構成を変え、昼食後の血糖変動幅や血糖降下との関係を検証しています。今年は2つの実験食を考案しました。
標準食である昼食メニューを白米、鶏のから揚げ、タコライス、ポテトサラダ、ツナとトマトのさっぱりサラダ、果物をとし(エネルギー902kcal、たんぱく質38g、脂質29g、炭水化物117g)としました。
実験食では、食事の食べ方や、食品構成を変えて、昼食後の血糖変動を、持続血糖モニタリングセンサー(FreeStyleリブレ 2 センサー、アボット社製)を使用して分析します。
実験食1では、朝食を食べた条件と、朝食を食べない条件で、昼食後(実験食を食べた後)の血糖変動幅の違いを検証します。
実験食2は、血糖値が上昇しにくい、玄米やさつまいも、りんごなどの食材に置き換え、昼食後の血糖変動の違いを検証します。

現在、卒業研究の真最中ですが、予備実験で、『仮説とは異なる結果』が、得られました。
  これは、臨床研究を行っていた筆者にとって、『想像していた真逆の結果』、でしたが、『大変興味深い結果』です。これは、私が、『Teamで楽しく挑戦する』新たな、研究テーマです。




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