栄養学を担当している稲葉です。4月になり新学期・新年度の始まりですね。卒業して新社会人になった18期生にエールを送るとともに、期待と不安を抱えている新入生を温かく歓迎したいと思います。どんな学生さん達と出会えるのか楽しみです。
さて、今回は、書籍をご紹介したいと思います。最近読み返したチャールズ・スペンス氏の“「おいしさ」の錯覚”という書籍です(KADOKAWA, 2018年)。この本では、「ガストロフィジックスについて書かれています。「私たちが食べ物や飲み物を味わう時に生じる複数の感覚に作用する要素を研究する学問」と定義され、「ガストロノミー」と「サイコフィジックス」を合わせた造語だと記されています。
ポテトチップスを食べる時に出る「パリパリ」する音の高音を強調すると、それを聞きながら食べた人はより「パリパリ・サクサク」して美味しく感じるという研究を発表して有名になった方ですが、美味しさが食品や料理側だけでなく、ヒトの感覚に大きく影響されていることを示した研究の一つです。
「おいしさ」って何だろうとよく考えます。普段食べているお弁当でも、殺風景な職場でモニターを見ながら食べるよりも、桜の木の下で花見をしながら食べた方がずっとおいしく感じます。私は、食べ物側ではなくて、ヒトの置かれた環境に興味があり、大学院生ともおいしさについて研究しています。
コロナ禍のため、なかなかワイワイと花見をしながらお弁当を食べることは難しいいかもしれませんが、串団子片手に桜の下を散歩したいと思っています。興味を持たれた方は、ぜひ、手に取ってみてください。おススメです。