皆さんこんにちは! 健康栄養学科の川上です。久しぶりのブログです。
数年前このブログに、2年生の後期必修科目「連携基礎ゼミ」で取り上げられたテーマを書いたことがあります。あれは確か、私の担当したゼミ学生が昆虫食について調べたので、その結果を紹介したものです。
で、今回は同じくその「連携基礎ゼミ」で、ゼミ生達がいわゆる「キラキラネーム」について調べたことがあったので、その結果に関連した話を紹介します。もう7~8年前?の話ですが、「昆虫食」に並ぶインパクト強すぎな内容です(ちなみに、連携基礎ゼミはアカデミックな内容であればテーマとして取り上げます)。
確かあの時、参考文献として本を2冊購入したのですが、片方はキラキラネームに批判的(こんな名前を付ける親はけしからん!という論調)、もう一方は、キラキラネームを客観的に考察している内容でした。前者の論調だと、良いか悪いかで話が終わってしまいます。私も、正直なところ暴走族が良く使う「夜露死苦!」と似たようなものでしょ、と思っていましたが、ことはそう単純ではなく…。ですので、後者の本である「キラキラネームの大研究」(伊藤ひとみ 著、新潮新書、2015年)からの内容を以下に引用させてもらいます。
突然ですが、こちらの名前読んでください。
「苺苺苺」
・・・・・・読めましたか? 正解は「まりなる」でした!
続いて、
「澄海」
・・・・・・読めましたか? 正解は「すかい」でした!
はい、どんどん行きますよ。これは?
「在波」
・・・・・・読めましたか? 正解は「あるふぁ」でした!
はい、次行きます。これは?
「今鹿」
・・・・・・読めましたか? 正解は「なうしか」でした!
はい、次。これはわかるかも。
「心愛」
・・・・・・読めましたか? 正解は「ここあ」でした!
はい次! これは?
「王冠」
・・・・・・読めましたか? 正解は「てぃあら」でした!
次!
「希星」
・・・・・・読めましたか? 正解は「きらら」でした!
まだあるけどこれ最後! 分かる人には分かる?
「光宙」
・・・・・・読めましたか? 正解は「ぴかちゅう」でした!
読めるかっ! との心の声が聞こえてきそうです。今鹿や光宙はもはやとんちクイズですが、苺苺苺って何じゃこりゃ?
これだけ見ると現在(7~8年前ですが)は非道い状況だ・・・と思うかもしれませんが、実は明治時代にもいわゆるキラキラネームは存在していたようで、特に大変だった時期が、明治維新により国民全員が「苗字」と「名前」を戸籍に登録しなくてはならなくなった時。この時、普通に読めないような当て字も使用され皆が姓名を作ったので、現代に残るいわゆる「難読姓氏」もこの時生まれたとのこと。確かに、「小鳥遊(たかなし)」とか、「月見里(やまなし)」とか、これもとんちクイズですな。
また、現代の日本人がキラキラネームについてどの様な印象を持つのかをゼミ生が調べたところ、キラキラネームに賛成か反対かというアンケートには、86%が反対と答えていたそうです(7~8年前の話ですが)。でも、上記の「心愛(ここあ)」とか、これ今ではもう普通の名前として認知されているのでは? この本によれば、キラキラネームのどこまでが「セーフ」でどこからが「アウト」なのかの境界線は、世代や環境、人によっても様々であり、この境界線の設定の仕方がキラキラネームの捉え方につながる、と述べています。私もこれに一票。
一方、キラキラネームがはやった原因について、ゼミ生達は「戸籍法には人名に使える漢字の規定があるものの、読み方については特に規定がなく、漢字をどう読ませても自由、との事実を某雑誌が世に知らしめたせいだ」、と説明していました。もちろんそれも原因の一つかもしれません。いろいろな要因が考えられますが、同じく「キラキラネームの大研究」によれば、現代のパソコンやスマホの普及が大きいと考察しています。急激なIT化が、漢字の使い方を伝統的な規範から遠ざけた結果、現在の日本人は、漢字本来の意味よりも読み方やイメージを重視した「感字」を使用している、とのこと。さらに、最近外国人の間でタトゥーに漢字を入れる(「足」とか、「七輪」とか・・・)のがはやっているのは、外国人が漢字の意味などではなく、そのデザインに興味を示しているからであり、まさに「感字」を使っている日本人と同じではないか、と述べています。私もこれに二票!
とまぁ長くなりましたが、キラキラネームもこうやって考えると奥が深いです。が、名前を見て読み方が分からないのは、やっぱりちょっと困るよなぁ・・・と思う今日この頃です。ではまた!