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2022.11.28

プラントベース(植物性)の食事選びについて②

こんにちは。健康栄養学科教員の増田です。
前回の記事の続きとなります。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

「食を楽しむ」という授業では、家畜動物を減らし、温暖化対策に大きく貢献し得る一つの提案として、プラントベース(植物性)の食事へのシフトを挙げてみました。海外では、学校栄養プログラムを代表する業界団体「School Nutrition Association」の2018年の調査によれば、全米では14%の学区がヴィーガン食、56%がベジタリアン食を提供しているとのことです(目的は、肥満の子供を減らすためですが)。米国ニューヨーク市の公立学校の学校給食では、週に1回金曜日に、ヴィーガン・フライデーが実施されています。

 

プラントベースの食事の主な例は、大豆加工品です。最近では、企業努力が著しく、大豆の加工度合いの工夫により、さまざまな食感の「代替肉」が急速に発展しています。

 

(余談ですが、過去50年間で、野生動物の個体数は68%も減少し、生物多様性が喪失しました。この喪失のうち60%は、「私たちの食」が原因で起こったと言われています。現在、哺乳類の中で、野生動物が占める割合は、陸上の哺乳類のたった4%だそうです。一方で、人間が作り出した家畜動物は60%をも占めています。私は、動物との共存のためにも、人間が食の見直しを図るべきだと考えます。)

 

 

授業では、最後に、自分が食を通した地球温暖化対策として、自分たちにできそうなことについて、webで回答してもらいました。

 

感想の大半は、「『いただきます』の感謝の念だけは忘れないようにします」でした。

 

一方で、コンビニでバイトをしている学生の中には、少しでも食料廃棄を減らしていきたいとの回答が目立ちました。どうやら、食料廃棄の現場をよく目の当たりにするようです。

 

他にも、「代替肉」の発展について述べられた感想では、肉食は好きなので、植物性食は受け入れられません、という感想が沢山ありました。中には、「肉食を模倣するのは、未練がましい。肉食を模倣するくらいなら、私は肉をそのまま食べ続けます。」という感想もありました。

 

私が一番印象的だったのは、環境問題の実態を目の当たりにしたことがある学生は(ここでは、コンビニの食料廃棄について)、この実態と授業内容がすぐに結び付けられたという点です。一方で、これまでにあまり環境問題を意識したことがない学生は、ピンとこなかったのかもしれません。この点が、せめて感謝の念は忘れないように、といった漠然とした学生の言葉に表れているのだと思います。環境問題への意識付けは、普段から問題に接していないと難しいかもしれません。少しでも、学生達が考えるきっかけになればと思った授業でした。

 

最後に、肉食が好きで止められないという意見について、こうした意見は、広く一般意見を反映しているのだろうと思います。大豆加工食品の企業の販売の考え方は、今ある食べ物(お肉)を模倣することで、今は受け入れ難いような、未知の新しい食べ物にもいずれ対応できるように、段階を経ている最中だろうと思います。大豆加工の技術は面白いので、私は、代替肉の急速な発展を、今後も注目していきたいと思います。

 

いかがでしたでしょうか?皆さんも、食を通して我々にできることがあることを感じていただければ幸いです。

#その他